大判例

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大阪地方裁判所 平成元年(ワ)3987号 判決 1992年8月31日

原告

アース名刺株式会社

右代表者代表取締役

今村忠次郎

原告

エンゼルピック株式会社

右代表者代表取締役

新潟孝仁

原告

株式会社カワチダニ

右代表者代表取締役

河内谷修三

原告

キング名刺株式会社

右代表者代表取締役

棚橋駿

原告

株式会社サクライカード

右代表者代表取締役

桜井新太郎

原告

株式会社砂田

右代表者代表取締役

砂田末人

原告

株式会社西富商会

右代表者代表取締役

山崎弘明

原告

ハート株式会社

右代表者代表取締役

田中正夫

原告

株式会社ヤマガタ

右代表者代表取締役

山縣平蔵

右九名訴訟代理人弁護士

木下肇

右同

土谷明

被告

右代表者法務大臣

田原隆

右指定代理人

山本恵三

外七名

主文

原告らの請求をいずれも棄却する。

訴訟費用は原告らの連帯負担とする。

事実

第一  当事者の求めた裁判

一  請求の趣旨

1  被告は、郵便法に定める通常葉書を、くじ引き番号付きにして、かつ、図画等の印刷をしたものを金四一円で販売してはならない。

2  被告は、郵便法に定める通常葉書を、くじ引き番号付きにして、金四一円で販売してはならない。

3  被告は、郵便法三四条一項二号に定める通常葉書を、くじ引き番号付きにして、金四三円で販売してはならない。

4  被告は原告らそれぞれに対し、次の金員及びこれに対する平成元年六月一七日から支払済みまで年五分の金員を支払え。

(一) 原告アース名刺株式会社に対し金九〇〇万円。

(二) 原告エンゼルピック株式会社に対し金九〇〇万円。

(三) 原告株式会社カワチダニに対し金九〇〇万円。

(四) 原告キング名刺株式会社に対し金三八〇〇万円。

(五) 原告株式会社サクライカードに対し金九〇〇万円。

(六) 原告株式会社砂田に対し金九〇〇万円。

(七) 原告株式会社西富商会に対し金九〇〇万円。

(八) 原告ハート株式会社に対し金四八〇〇万円。

(九) 原告株式会社ヤマガタに対し金二九〇〇万円。

5  訴訟費用は被告の負担とする。

6  仮執行宣言。

二  請求の趣旨に対する答弁

主文同旨

第二  当事者の主張

一  請求原因

1  当事者の地位

(一) 原告らは、郵便法二二条三項但書に基づき、郵便葉書(以下「私製葉書」という。)の製造、印刷及び販売を業とする株式会社である。

(二) 被告は、郵便葉書を発行、販売している(以下、被告の発行、販売する郵便葉書を「官製葉書」という。)。

(三) 官製葉書の発行、販売の事業は被告の私的な事業としてなされるもので、被告は私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(以下「独占禁止法」という。)二条一項の事業者として、前記事業を行なう原告らと競争関係(同法二条四項)にあり、したがって、官製葉書の発行、販売については独占禁止法の適用がある。

2  被告の違法行為

被告は以下の違法行為を行い、原告の営業権を侵害している。

(一) 不当廉売行為

(1) 郵便法(以下、単に「法」というのは、これを指す。)二二条二項は、第二種郵便物である通常葉書の料金を四〇円と定めているところ、平成元年四月一日以降、消費税法の施行に伴い、被告は同法九三条一項によりその料金を四一円と定め、その額の料額印面を付けた通常葉書を発行し、これを売価四一円で販売している。

(2) ところで、右条項にいう「通常葉書」とは、金品を贈るくじ引き番号付き(以下、「くじ引き番号付き」という。)でなく、かつ、図画等の記載もない、全く白地の葉書のことをいうと解すべきであり、したがって、被告がくじ引き番号付きの葉書若しくはそれに図画等の記載のあるものを発行するときは、それらに要する経費を勘案して、販売額を定めるべきである。

即ち、法三四条一項は、「郵政大臣が次の各号に掲げる郵便葉書で料額印面の付いたものを発行したときは、これを当該各号に掲げる額で販売することができる。」とし、その二号において、「対価を得ないで図画等を記載した郵便葉書で省令で定めるもの」につき、「料額印面に表された金額を超える額でその記載に要する経費を勘案して省令で定める額」と規定している。そして、それを受けて、「郵便葉書の販売額の特例に関する省令」第二項は、特別の販売額として、「お年玉付郵便葉書等に関する法律一条一項及び五条一項の規定により発行された通常葉書」につき四二円、「右以外の通常葉書で別に告示するもの」につき六〇円と定めているので、被告は、図画等を記載した郵便葉書の販売額については、「その記載に要する経費を勘案して」料額印面に表された額を超える販売額を告示し、販売すべきである。

また、右の法の規定は原価主義を採ったものと解されるから、その趣旨からして、くじ引き番号付通常葉書についても、くじ引き番号を印刷する経費及び贈られる金品に要する費用を勘案して料額印面に表された額を超える販売額を告示し、販売すべきである。

(3) しかるに、被告は、お年玉付郵便葉書等に関する法律一条一項に基づき、くじ引き番号付通常葉書として、いわゆる「お年玉付年賀葉書」、「春のよろこび郵便葉書(以下、「さくらめーる」という。)」、「暑中見舞用郵便葉書(以下、「かもめーる」という。)」を、また、くじ引き番号付通常葉書で図画等の記載された「さくらめーる」及び「かもめーる」をそれぞれ発行し、これを売価四一円で販売している。

右売価での販売は、くじ引きにより金品を贈るのは実質的には通常葉書の値引き販売に当たり、また、図画等の記載については印刷を無料とするものである。

また、被告は、同法一条一項及び五条に基づき、くじ引き番号付及び寄附金付通常葉書として、図画等の記載されたいわゆる「寄附金付お年玉年賀葉書」を発行し、これを売価四六円で販売しているが、そのうち三円は寄附金であるから、実質売価は四三円であり、右売価では到底贈る金品及び印刷の経費を賄っているとはいえず、原価以下の販売である。

ちなみに、平成三年度のお年玉付年賀葉書の賞金は、次のとおりである。

一等 衛星放送受信回路内蔵型Aテレビまたは旅行券(二〇万円相当)

二等 腕時計、圧力鍋セット、インスタントカメラ、CDラジカセ、羽毛布団のうち一点

三等 ふるさと小包一〇〇品目のうち一点

四等 ふるさと切手シート(六二円の切手一二枚)アルバム

五等 お年玉切手シート(四一円の切手二枚)

右のうち、四等は一〇〇〇枚につき三枚が、五等は一〇〇枚につき四枚が当たりくじとなるので、単純に計算しても一〇〇〇枚につき、四等と五等のみで五五一二円相当の切手が当たり、売価四一円の通常葉書一枚当たり五円以上の値引きになり、売価四三円であっても三円以上の値引きとなる。

(4) 右のとおり、被告の右売価は、いずれも、官製の通常葉書を原価以下で販売するものであり、独占禁止法二条九項二号にいう「不当な対価をもって取引すること」、昭和五七年六月一八日公正取引委員会告示第一五号の六号にいう「不当廉売」に当たる。

(二) 私的独占行為

被告は、前記のとおり、「お年玉付年賀葉書」「さくらめーる」、「かもめーる」等(以下、「本件年賀葉書等」という。)について、その各用途別に図画等を印刷したものを前記売価で販売しているが、その枚数は、全国で流通している用途別に印刷された郵便葉書の全枚数の五割をはるかに超えている。これは独占禁止法三条にいう「私的独占」にほかならない。

(三) 自己の取引上の地位の不当利用

被告は、郵便という役務そのものにつき独占的な業務を行うもの(郵便法二条)であり、郵便という役務を利用する者に対し、絶対的な権威を有し、これは郵便葉書の発行、発売についても同様である。被告が右地位を利用してお年玉付年賀葉書等を発行、前記売価で販売する行為は、独占禁止法二条九項五号にいう「自己の取引上の地位を不当に利用して相手方と取引すること」に当たる。

3  被告の賠償責任と原告らの差止請求権の根拠

(一) 被告は、官製葉書の発行、販売を行なうに当たっては、郵便法及びその関連法規のみならず、独占禁止法の規定を遵守し、原告らのような私製葉書の製造、販売業者の「公正且つ自由な競争」による事業活動を妨げ、これに損害を与えることがないようにするべき注意義務があるのに、これを怠った過失があるから、民法七〇九条に基づき、原告らが被った損害を賠償すべき責任を負う。

(二) また、被告の前記違法行為が継続するときは、原告らはその営業の大部分を失ない、事業を廃止せざるを得ない事態となる。したがって、原告らの被害救済のためには損害賠償のみでは不十分というべきであり、原告らは民法七〇九条ないし営業権に基づき、被告のお年玉付年賀葉書等の販売の差止を求めることができるというべきである。

4  原告らの損害

(一) 被告は、昭和四八年度において、官製年賀葉書を年間二三億枚発行している。そして、同六三年度における官製年賀葉書の発行枚数は、年間三六億九〇〇〇万枚であった。

昭和四八年度と同六三年度の発行枚数を比べると、約1.6倍の伸びを示している。

被告は、官製暑中見舞用葉書を昭和五〇年度より発行し、昭和五〇年度の発行数は一億枚であり、同六〇年度には一億九八〇〇万枚の発行総数となった。さらに、同六一年度には「かもめーる」を発行し、右年度の発行数は二億四五〇〇万枚であり、同六三年度には、三億三〇〇〇万枚もの発行数に達した。

昭和五〇年度と同六三年度の発行枚数を比べると、約3.3倍もの伸び率となっている。

さらに、被告は、昭和六二年度より「さくらめーる」を発行するようになり、右年度における発行枚数は、九〇〇〇万枚であり、翌昭和六三年度には一億二〇〇〇万枚にまで発行数が増加している。

のみならず、被告は平成元年には、寒中見舞用葉書を発行し、発行総数は一億枚にも達した。

(二)(1) 原告アース名刺株式会社、同エンゼルピック株式会社、同株式会社カワチダニ、同株式会社サクライカード、同株式会社砂田、同株式会社西富商会の各損害

右各原告は、昭和四八年度にそれぞれ約二八〇万枚の年賀葉書を販売している。前記のとおり官製年賀葉書の発売枚数は、約1.6倍の増加となっている。本来、右各原告の売上も、昭和六三年度には、それぞれ約1.6倍の伸びを示すべきであるところ(1.6倍になっていたとすると年間販売数量は約四四八万枚になっていた筈である。)、被告の違法な前記官製葉書発売行為により逆に販売数量は激減し、約八九万枚に落ち込んでいる。右約四四八万枚と約八九万枚の差約三五九万枚が、昭和六三年度における、被告の違法行為により、右各原告が本来販売しえたにもかかわらず販売しえなかった数量である。

また、右私製葉書の一枚当たりの単価は金九円であり、その利益率は三割である。したがって、一枚当たりの利益は金二円七〇銭ということとなる。

被告の違法行為により右各原告が販売出来なかった私製葉書の枚数は約三五九万枚であるから、右各原告の逸失利益は、それぞれ約金九六九万三〇〇〇円ということになる。

右各原告は、それぞれ右逸失利益の内金九〇〇万円を本訴において請求する。

(2) 原告株式会社ヤマガタの損害

右原告は、昭和四八年度に約八五〇万枚の年賀葉書を販売している。官製年賀葉書の発売枚数は、約1.6倍の増加となっている。本来、右原告の売上も昭和六三年度には、約1.6倍の伸びを示すべきであるところ(1.6倍になっていたとすると右原告の年間販売数量は約一三六〇万枚になっていた筈である。)、被告の違法な前記官製葉書発売行為により、逆に販売数量は激減し、約二七二万枚に落ち込んでいる。右約一三六〇万枚と約二七二万枚の差約一〇八八万枚が、昭和六三年度における、被告の違法行為によって、右原告が本来販売しえたにもかかわらず、販売しえなかった数量である。

また、右私製葉書の一枚当たりの単価は金九円であり、その利益率は三割である。したがって、一枚当たりの利益は金二円七〇銭ということとなる。

被告の違法行為により右原告が販売出来なかった私製葉書の枚数は約一〇八八万枚であるから、右原告の逸失利益は、約金二九三七万六〇〇〇円ということになる。

右原告は、右逸失利益の内金二九〇〇万円を本訴において請求する。

(3) 原告キング名刺株式会社の損害

右原告は、昭和四八年度に約一一二〇万枚の年賀葉書を販売している。官製年賀葉書の発売枚数は、約1.6倍の増加となっている。本来、右原告の売上も昭和六三年度には、約1.6倍の伸びを示すべきであるところ(1.6倍になっていたとすると右原告の年間販売数量は約一七九二万枚になっていた筈である。)、被告の違法な前記官製葉書発売行為により、逆に販売数量は激減し、約三五八万枚に落ち込んでいる。右約一七九二万枚と約三五八万枚の差約一四三四万枚が、昭和六三年度における、被告の違法行為によって、右原告が本来販売しえたにもかかわらず、販売しえなかった数量である。

また、右私製葉書の一枚当たりの単価は金九円であり、その利益率は三割である。したがって、一枚当たりの利益は金二円七〇銭ということとなる。

被告の違法行為により右原告が、販売出来なかった私製葉書の枚数は約一四三四万枚であるから、右原告の逸失利益は、約金三八七一万八〇〇〇円ということになる。

右原告は、右逸失利益の内金三八〇〇万円を本訴において請求する。

(4) 原告ハート株式会社の損害

右原告は、昭和四八年度に約一四〇〇万枚の年賀葉書を販売している。官製年賀葉書の発売枚数は、約1.6倍の増加となっている。本来、右原告の売上も昭和六三年度には、約1.6倍の伸びを示すべきであるところ(1.6倍になっていたとすると右原告の年間販売数量は約二二四〇万枚になっていた筈である。)、被告の違法な前記官製葉書発売行為により、逆に販売数量は激減し、約四四八万枚に落ち込んでいる。右約二二四〇万枚と約四四八万枚の差約一七九二万枚が、昭和六三年度における、被告の違法行為によって、右原告が本来販売しえたにもかかわらず、販売しえなかった数量である。

また、右私製葉書の一枚当たりの単価は金九円であり、その利益率は三割である。したがって、一枚当たりの利益は金二円七〇銭ということとなる。

被告の違法行為により右原告が、販売出来なかった私製葉書の枚数は約一七九二万枚であるから、右原告の逸失利益は、約金四八三八万四〇〇〇円ということになる。

右原告は、右逸失利益の内金四八〇〇万円を本訴において請求する。

5  結論

よって、原告らは、被告に対し、不法行為に基づき、請求の趣旨記載のとおりの損害賠償を求めるとともに被告の右違法行為の差止を求める。

二  請求原因に対する認否及び被告の反論

(請求原因に対する認否)

1 請求原因1のうち、被告が官製葉書を発行、販売していることは認め、原告らの事業については知らない。その余は否認する。

2(一)(1) 同2(一)(1)は認める。

(2) 同2(一)(2)のうち、各法令の存在することは認め、その余は争う。

(3) 同2(一)(3)のうち、被告が原告ら主張の法律に基づきその主張のとおりのお年玉付年賀葉書等を発行し、その主張のとおりの売価で販売していることは認めるが、その余は争う。

(4) 同2(一)(4)は争う。

(二) 同2(二)及び(三)は争う。

3 同3(一)及び(二)は争う。

4 同4(一)は認め、(但し、官製暑中見舞用葉書の発行は、昭和二五年度からであり、「さくらめーる」の発行は同六一年度からで、その発行数は同六三年度は一億枚である。)、同4(二)は争う。

(被告の反論)

1 当事者の地位(独占禁止法の不適用)について

(一) 独占禁止法は、私的な事業者間の「公正且つ自由な競争を促進」することを目的とする(同法一条)のであるから、国又は公共団体の営む独占的事業には適用されない(昭和二二年三月六日第九二回帝国議会衆議院本会議・独占禁止法案第一読会における高瀬荘太郎国務大臣の提案理由説明、同月三一日第九二回帝国議会貴族院・独占禁止法案特別委員会における橋本龍伍政府委員長の説明)。

しかるところ、郵便法上、郵便は、国の行う事業であって、郵政大臣がこれを管理し(同法二条)、何人も、郵便の業務を業とし、又、国の行う郵便の業務に従事する場合を除いて、郵便の業務に従事してはならない(同法五条一項)と規定されている。

右にいう「郵便の業務」とは、郵便法により国が行う信書及びその他の一定の物件の送達(同法五条二項、三〇条)並びにこれに付随する切手類の販売(同法三三条一項)等の業務を指すものと解すべきであり、また、郵便法三三条一項は、「郵便切手その他郵便に関する料金を表す証票」(以下「切手類」という。)の発行を郵政大臣の専権とし、その販売を国の独占事業としている。

そして、右「切手類」とは、郵便切手のほか、料額印面の付いた郵便書簡(同法二一条四項、郵便規則一一条の五第一項四号)及び郵便葉書(同法二二条三項本文、郵便規則一二条一項四号)そのものを指すものと解すべきであり、また、郵便規則一一条の五第三項又は一二条三項に基づいて図画等が印刷された場合には、その印刷された部分を含めて右「切手類」に該当するものと解すべきである。なぜならば、料額印面の印刷部分は、その用紙自体及び用紙の表裏と不可分一体のものであり、かかる不可分一体の物が、発行及び販売の目的物となり得るのであって、そのうち料額印面の印刷部分のみを分離しては、発行及び販売の目的物となり得ないからである。

したがって、年賀等の各用途に適した図画等を印刷したくじ引き番号付通常葉書を発行、販売することは、被告のみが行うことのできる独占的事業であるから、これについては、本来、独占禁止法は適用されないものと解すべきである。

(二) なおまた、私製葉書と官製葉書を比較してみても、私製葉書は料額印面の付かないものであるのに対し、官製葉書は料額印面を付けたものであるので、両者は異質のものであって、それぞれ異質の物を販売する原告らと被告との間には、独占禁止法にいう競争関係にない。

2 違法行為について

(一) 官製葉書の発行について

官製葉書の発行について、郵便法二二条三項は、郵政大臣が省令でその規格及び様式を定めるとし、これを受けて郵便規則(逓信省令第三四号)一二条三項は、郵便葉書には、絵画、写真、書、図、簡単な字句等を印刷することがあるものと規定している。

また、お年玉付郵便葉書等に関する法律は、郵政省は、年始その他特別の時季の通信に併せて、くじ引き番号付きの郵便葉書を発行することができるものとされており、本件年賀葉書等は右法律に基づきくじ引き番号付きの郵便葉書として発行、販売したものである。これらは、前記のとおり、官製葉書は国が独占的に発行、販売しているので、利用者にとって他に代替するものがないことから、その多様な需要に合致した官製葉書を発行、販売する必要があることに基づくものである。

(二) 官製葉書の販売額について

(1) 郵便法二二条二項、九三条一項、郵便規則一二〇条の三一により、平成元年四月一日以降、通常葉書の料金は四一円と定められ、官製葉書の販売額については、特例として、同法三四条一項により別に省令で定められる場合以外は、右料金額(料額印面に表示された額)が販売額とされている。即ち、官製葉書の用紙や印刷には、それに図画等を印刷しない場合でも、若干の費用を要することは当然であるが、郵便法はかかる費用を販売額に上乗せすることを認めていないのである。

このように官製葉書の料金額(現行四一円)をもって販売するのを原則とする郵便法の趣旨に照らすと、郵便法三四条一項二号が、郵政大臣が対価を得ないで図画等を記載した官製葉書を発行したときは、図画等の記載に要する経費を勘案して、省令で、料額印面表示額を超える販売額を定めて販売することができるとしているのは、図画等を印刷した官製葉書はすべて料額印面額を上回る金額で販売できるというのではなく、白地の官製葉書に比して図画等の記載に要する経費が相当高額になる場合に限って、特に省令で経費を上乗せした販売額を定めるものとしたものと解すべきであり、右経費がわずかなものである場合は、なお料額印面で販売することを許容していると解すべきである。

(2) これを、実際に販売されている官製葉書について具体的にみると、まず、お年玉付郵便葉書等に関する法律一条一項及び五条一項の規定により発行されたいわゆる寄附金付絵入り年賀葉書については、全国版のほか各都道府県版のものを発売しており、その種類が多く、発行枚数が少ない種類のものもあって、これがかなりの費用増加要因となること、また、裏面の絵柄も優れたデザインのものを採用していることから、そのデザイン料も高価であることなどのため、図画等の印刷に相当の費用を要し、そのための諸経費約二円を上乗せした四三円で販売しているものである(郵便葉書の販売額の特例に関する省令)。

これに対し、お年玉付郵便葉書等に関する法律一条一項の規定により発行された「さくらめーる」及び「かもめーる」については、その発行種類が少ないため、寄附金付絵入り年賀葉書のような費用増加要因が小さいこと、絵柄も簡単なデザインのものを採用していることなど、図画等の印刷にかかる費用は、白地の官製葉書に比してさほど増加することがないことから、前記法の趣旨に従い、料額印面と同額の四一円で販売しているものである。

これに対し、郵便法は、もとより、お年玉付郵便葉書等に関する法律においても、くじ引番号を付けるための経費については、郵便の料金に加算することを認めた規定は存在せず(前記郵便法三四条一項二号もこのような規定ではない。)、これを加算した官製葉書を発行することはできないものであり、もとよりかかる官製葉書は発行されていない。先に述べたとおり、いわゆる寄附金付年賀葉書の販売額(寄附金三円を除いたもの。)は四三円とされているが、これはくじ付きのための経費を上乗せしたものではなく、「図画等の記載に要する経費」を上乗せしたものに過ぎない。

(3) 要するに、官製葉書は料金額(料額印面額)で発行するのが郵便法上の原則であるので、図画等の印刷について発行額を別に定めることができるとしても、白地の官製葉書の経費より相当高額にならなければ右の原則に従うべきであるし、くじ引き付きの官製葉書についてはその経費を上乗せすることを許した規定がないので料金額でしか発行しえないのである。いずれにしても被告の本件年賀葉書等の発行、販売には違法、不当な点はない。

三  原告らの再反論

1  原告らの事業と被告の事業の間に競争関係が成立しないとの被告の主張について

(一) 郵便法二二条三項本文は、「郵便葉書は、郵政大臣が、省令でその規格及び様式を定めて、これを発行する。」ものとし、同項但書は郵便葉書の私製を妨げないものとしている。

これらの規定と法三三条を対比、解釈すれば、二二条三項にいう「郵便葉書」が郵便葉書用紙を意味しており、三三条にいう「郵便に関する料金を表す証票」の中に右「郵便葉書(用紙)」は含まれていないことは明かである。右用紙や裏面に印刷された図画等が「郵便に関する料金を表す」とは到底考えられない。

(二) ある特定の二種類の商品が競争関係に有るか否かは、供給者の側から見られるべきものではない。

需要者の側から二種類の商品の値段、用途、特性等を比較し、その間に合理的な交換可能性があれば右商品は競争関係に立つというべきである。官製葉書も私製葉書もともに郵便葉書として利用されているものであり、これらは競争関係に立つというべきである。

2  官製年賀葉書の所期の目的は達成されたこと

お年玉付年賀葉書については、お年玉付郵便葉書等に関する法律の制定にあたって、担当大臣は郵政委員会において、提案理由として、「年頭の挨拶を郵便で交換する従来の好ましき風習を助長するとともに、従来赤字に悩む郵便事業の収入増をはかるため年賀状の差出しを積極的に勧奨する。」と説明しているが、戦前の年賀状の最盛期は昭和一一年の八億五〇〇〇万通であり、昨今は官製年賀葉書のみで三九億枚にも達しているので、もはやお年玉付年賀葉書はその所期の目的を達したものというべきである。

第三  証拠<省略>

理由

一原告らが私製葉書の製造、販売を業とする株式会社であることは、証拠(<書証番号略>、原告株式会社サクライカード代表者桜井)及び弁論の全趣旨から明らかであり、被告が、本件年賀葉書等を含む官製葉書を発行し、本件年賀葉書等のうち、くじ引き番号付きで図画等のない「お年玉付年賀葉書」、「さくらめーる」及び「かもめーる」並びにくじ引き番号付きで図画等の記載された「さくらめーる」及び「かもめーる」については第二種郵便物としての通常葉書の郵便料金である四一円で、くじ引き番号付きで図画の記載された寄附金付お年玉付年賀葉書については四三円(寄附金三円を除く。)でそれぞれ販売していることは当事者間に争いがない。

二被告の本件年賀葉書等の発行、販売の事業と独占禁止法の適用の有無

被告は、官製葉書の発行、販売の事業は郵便事業の一環として郵便法三三条一項に基づき行なわれる国の独占事業であり、本件年賀葉書等は右の官製葉書であるから、本件年賀葉書等の発行、販売につき独占禁止法の適用がない旨主張する。

1  独占禁止法は、自由競争経済秩序の維持を目的とするものであり、そこでは自由市場の存在を当然の前提とし、その市場において、事業者の創意を発揮させ、事業活動を活発にして、良質・廉価な商品又は役務の提供を中心とした競争、即ち、公正且つ自由な競争の促進により、一般消費者の利益を確保し、国民経済の民主的で健全な発達の促進を図ろうとするものである(同法一条)。

したがって、特定の事業分野について法制度的に独占が定められている場合には、独占禁止法が目的としている自由市場における公正且つ自由な競争の促進という独占禁止政策を排除したものと解されるから、独占禁止法の適用はないと解すべきである。

しかしながら、法制度により独占が定められている事業であっても、その事業の経済活動のすべてについて独占禁止法の適用がない訳ではなく、その独占事業に固有の行為以外の行為については独占禁止法が適用されるものと解すべきである。

2  ところで、郵便法二条は、「郵便は、国の行う事業であって、郵政大臣が、これを管理する。」とし、同法五条一項は、「何人も、郵便の業務を業とし、又、国の行う郵便の業務に従事する場合を除いて、郵便の業務に従事してはならない。」と規定して、郵便事業を国の独占事業と定めている。

そして、右の「郵便の業務」とは、郵便法により国が行う信書及びその他の一定の物件の送達(同法五条二項、三〇条)のみならず、これに当然伴う郵便切手その他郵便に関する料金を表す証票(以下「切手類」という。)の発行等の業務を指すものと解すべきであり、郵便法三三条一項も、切手類の発行を郵政大臣の専権とし、その販売を国の独占事業としている。

したがって、郵便料金を表す料額印面の付いた郵便葉書(官製葉書)は、国のみが発行、販売できるものであり、その限りにおいては、国の独占が認められているといえる。

しかし、同時に郵便法は「通常葉書及び往復葉書は、省令の定めるところにより、郵政大臣の定める通常葉書又は往復葉書の規格及び様式を標準として、これを私製することを妨げない。」とし(同法二二条三項但書)、私製葉書の作製を許容しており、したがって、原告らのような民間の事業者が私製葉書の製造、販売を業として行なうことは何ら妨げられないのである。

そうすると、葉書の市場は、一方において信書の送達役務の提供と文字等の記載のできる用紙とが一体となった簡便な官製葉書の市場と他方において信書を送達するには切手を貼付しなければならない用紙のみの私製葉書の市場とから成り、葉書の利用者は用途に従って官製葉書と私製葉書とを選択、利用して来た面があるので、両者はそれぞれの市場の領域を独自に形成しているということもできないではないが、大局的に見れば、葉書の紙質、文様等に創意工夫することにより、互いに他の市場に影響を及ぼす余地は十分あるのであるから、葉書の経済市場において、両者が全く競合関係に立たないということはできない。

ちなみに、慶事・弔事について、私製葉書業者が各用途に応じて、用紙・図画等に工夫を凝らした年賀用葉書、暑中見舞用葉書、春先の入学・卒業・就職・転勤等の挨拶用葉書、葬儀用葉書等を製造、販売し、趣味・観光・各種展示会事業等の分野でも、私製葉書業者が独自に私製葉書の市場を形成、拡大して、官製葉書に対抗してきたことは公知の事実であり、本件年賀葉書等は私製葉書の市場に影響を及ぼすことは見易いところである。

また、前述のとおり、官製葉書を発行、販売することは被告(国)の独占事業に固有の行為であり、その限りでは独占禁止法の適用はないが、官製葉書にくじ引き番号を付け、また、図画等を記載する行為は独占事業に固有の行為ではなく、そうした独占事業に固有の行為でない行為を付加して、官製葉書の価値を高めて発行、販売することは、私製葉書の市場との競争をもたらすものであるから、本件年賀葉書等の発行、販売が国の独占事業であるとして、本件年賀葉書等の発行、販売について独占禁止法の適用がないということはできない。

しかるところ、被告(国)は郵便事業の活動の主体として独占禁止法二条一項にいう「事業者」であり、また、本件年賀葉書等は、葉書の販売という共通の市場において、季節の挨拶状等として、私製葉書の用途とされてきたものと同様の目的をもって、一定の時期に発行、販売されているのであるから、これらを購入しようとする需要者から見れば、本件年賀葉書等と私製の年賀葉書等とは、独占禁止法二条四項一号にいう「同種又は類似の商品」といって妨げなく、両者は独占禁止法上の競争関係にあるというべきである。

したがって、本件年賀葉書等の発行、販売について、そもそも独占禁止法の適用がないとする被告の主張は採用できない。

二被告の違法行為の存否について

1  不当廉売行為について

(一)  証拠(<書証番号略>、原告株式会社サクライカード代表者桜井)及び弁論の全趣旨並びに法令によれば、我が国の郵便事業の推移並びに本件年賀葉書等の発行等の経緯は、次のとおりであることが認められる。

(1) 我が国の郵便制度は、国家専掌の方針の下に、旧郵便法(明治三三年法律第五四号)が制定されて国家の独占による近代的郵便事業として発足し、昭和九年には通信特別会計制度が実施され、第二次世界大戦後、現行憲法の制定に即応して、旧郵便法の全文が改正されて、現行郵便法(昭和二二年法律第一六五号)が制定、実施され、また、昭和二四年度の予算編成以降、郵便事業の収支については一般会計からの繰入れをも行わないものとし、国家会計上、郵便事業は一般会計から完全に切り離された特別会計として独立採算制が採り入れられ、ここに郵便事業はその公共性と企業性を有することが明確になり、その事業活動を通じて利用者に対するサービスの向上が期待されるに至った。

(2) 年賀郵便については、明治三九年に年賀特別郵便の制度が確立され、昭和一二年度の年賀郵便では八億五〇〇〇万通にも達したが、日華事変の発生、次いで第二次世界大戦と、時局の変遷に伴い、我が国内における戦時体制の強化がなされ、年賀郵便も虚礼廃止・物資節約政策により激減し、昭和一五年一一月には年賀特別郵便の取扱を停止した。

(3) 終戦後、昭和二三年末に年賀特別郵便の取扱を復活させたものの、その年度の取扱数は七〇〇万通弱で昭和一二年末の9.3パーセントにすぎず、昭和二三年度の郵政事業では約五〇億円の不足が生じ、葉書以外の一般郵便物の値上げによりそれを賄ったものの、当時、月約一億円の赤字が見込まれていた。

(4) そこで、郵便事業の増収を企図し、年賀状の差出しを積極的に奨励し、かつまた、福祉のための寄附金を募ることをも目的として、「お年玉」という趣旨で、宝くじなどと比べれば極めて小額な商品が当たるにとどまり、その商品総額も発行総額の一〇〇分の五を超えないようなくじ引き番号付きの官製葉書である年賀葉書を発行するため、昭和二四年一一月一四日、お年玉付き郵便葉書等に関する法律(昭和二四年法律第二二四号。なお、当初、この法律は、「お年玉つき郵便葉書等の発売に関する法律」といい、昭和六二年法律第五四号により現行のものに改正された。)が制定、施行され、その発売が開始され、総発行総額の五パーセントの利益を見込んで一億八〇〇〇万枚のお年玉付年賀葉書が発売された。

(5) これに刺激されて年賀状交換の慣行が復活することとなり、年賀郵便の引受数も飛躍的に増加し、やがて、お年玉付き年賀葉書のうち、いわゆる寄附金の付かないものが昭和四〇年頃からお年玉付き年賀葉書の過半数を超えはじめ、さらに、昭和六〇年法律第三二号をもって、右法律の一部改正がなされ、年賀葉書のみならず特別の時季の通信に併せてくじ引番号付きの郵便葉書を発行することができることになり、これに基づき、昭和六一年より「かもめーる」、翌六二年より「さくらめーる」が発行されるに至った。

(6) 寄附金付きのお年玉付き年賀葉書には花鳥等の図画がつけられ、「かもめーる」や「さくらめーる」には簡易な図画がつけられているが、右の寄附金付図画入り年賀葉書については、裏面の絵柄に優れたものを採用してそのデザイン料も高価であり、その種類も全国版・各都道府県版等多種にわたり、その内には発行枚数の少ないものもあり、相当の費用を要したため、その諸経費約二円を上乗せした四三円(寄附金を除く。)で販売し、一方、「さくらめーる」及び「かもめーる」については、種類も少なく、裏面の絵柄も簡単なものを採用し、その印刷費用も白地の官製葉書に比べてそれほど増加することがないため、料額印面と同額の四一円で販売している。

(7) なお、年賀郵便は年々増加し、その配達は配達先毎にまとめて配達されるので、その集配コストは極めて低くなることから、現行の年賀郵便の郵便料金は高額に過ぎ、むしろ、減額すべきであるとの意見さえ出るに至っている。

以上の事実が認められる。

(二)  ところで、独占禁止法は、前示のとおり、公正且つ自由な競争を促進することにより、一般消費者の利益を確保することを目的とする法律であるから、その行為が不当廉売に当たるか否かは、右目的に則り、社会観念に照らして判断すべきであり、単に業者間の関係のみを捉えて判断すべきものではないといわなければならない。

しかるところ、前示認定のとおり、郵便事業は公共性と企業性を有し、利用者に対するサービスが期待される立場にあり、お年玉付郵便葉書等に関する法律が時季に見合ったくじ引き付き郵便葉書等を料額印面の額で発売することを認めると同時に、くじ引き付き郵便葉書等の発売に当たって、くじ引き当選者に贈る景品総額をその郵便葉書等の発行総額の一〇〇分の五以内に制限し(同法一条二項)、また、郵便法が図画等を記載した郵便葉書について料額印面の額で販売することを認めるとともに、その発売に当たって、印刷等の諸経費を勘案して販売額を定めて販売することができるとしている(同法三四条一項二号)ことは、郵便事業の右のような立場を考慮して、郵便事業の採算性とともにその公共性並びに一般利用者の利益を図るためのものであると考えられる。そして、前示認定の事実よりすれば、被告(国)が発行、販売した本件年賀葉書等のくじ引き付き・図画入り及びくじ引き付き・図画なしの各郵便葉書は、いずれも前記法令に従って発行、販売されたものであり、一般利用者の利益にも合致し、また、その発行、販売及び集配の全経費からすると、原価を割った不採算商品とは到底認め難いから、本件年賀葉書等を前記売価で販売することが不当廉売に当たるということはできない。

したがって、この点についての原告らの主張は採用できない。

2  私的独占行為について

(一)  証拠(<書証番号略>)及び弁論の全趣旨によれば、次の各事実が認められる。

お年玉付き年賀葉書の発行当初の昭和二四年、二五年の年賀郵便の引受数のほとんどは官製年賀葉書であったが、やがて年賀郵便引受数の増加につれて私製の年賀葉書の引受数も増加し、昭和四〇年には年賀郵便の引受数一五億通のうち、私製の年賀葉書は二億九〇〇〇万枚で全体の一九パーセントを占める状態にあった。しかし、お年玉付き年賀葉書の発行数が年賀郵便の引受数を上回り始めた昭和四九年以降、私製の年賀葉書の引受数は二億通前後にとどまり、その年賀郵便引受数全体に占める割合は七パーセント程度となり、平成元年には一億三八〇〇万通で四パーセントとなった。

以上のとおり認められる。

(二) 右認定事実によれば、原告らの私製年賀葉書の販売実績は官製年賀葉書の増加ほどは増加していないし、官製年賀葉書の発行が年賀郵便の引受数を満たすようになると私製葉書は伸び悩む傾向にあることは認められるが、それは、既に二1(一)、(二)に認定したように、一般の利用者の利益に合致する被告の正当な事業活動の結果にすぎず、それをもって私的独占行為(独占禁止法二条五項)と認めることはできない。

したがって、この点についての原告らの主張も採用できない。

3  自己の取引上の地位の不当利用について

前示のとおり、郵便事業は被告(国)の独占事業とされているが、本件年賀葉書等の発行、販売は、前示(二1(一)、(二))認定のとおり、正当な理由に基づくものであり、被告がその地位を不当に利用して相手方と取引しているとはいえない。

したがって、この点についての原告らの主張も採用できない。

三結論

以上のとおり、被告の本件年賀葉書等の発行、販売について違法な点はないので、その余の点を判断するまでもなく、原告らの請求は理由がないので棄却することとし、訴訟費用につき民訴法八九条、九三条一項但書を適用して、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官海保寛 裁判官若宮利信 裁判官中村昭子は差し支えがあり署名押印することができない。裁判長裁判官海保寛)

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